深夜の工場に1人ぼっちで牛肉の解体作業

私が22歳でフリーターをしている時に、新聞の折り込みチラシのアイデムで自給1800円(研修後は2000円)の仕事を見つけました。それは某飲食店の本社直営店にだけ卸しているステーキの整形作業でした。備考欄に包丁の扱いが上手な方は大歓迎とありました。

私は高校生から大学卒業まで飲食店でしかアルバイトの経験をしたことがなかったので、包丁の扱いには自信があったので、面接を受ける事にしました。結果は面接したその場所で採用が決まりました。勤務時間が深夜の1時から朝の7時までという6時間の勤務体制という事もあり、人が集まらなかったのが即採用の理由でした。

2日後から勤務が始まったのですが、私以外にも40代の女性が2人いて合計3人で、研修がスタートしました。最初は包丁の使い方の基礎から教えてもらいました。次にマスクや帽子、エプロンなどの衛生面の徹底なども教えてもらいました。その後に鶏肉の軟骨などを切り離すトリミング作業を1週間ほど続け、次の1週間はダイエーに卸しているローストビーフの整形作業でした。 生肉の時に肉の解体と筋のトリミング、余分な脂肪のトリミングでした。慣れない作業でしたが、鶏肉部門やローストビーフ部門の責任者が、直接解体のコツを教えてくれたので、作業が日に日に早くなり、包丁の扱いも上達が早かったです。

そして3週間目に入り、本来の仕事内容のステーキの整形作業がスタートしました。1時から4時までの間に3種類のステーキの整形・トリミングをこなし、その後に運送業者に引き渡し。4時から7時までは、ローストビーフの作業をするという流れでした。眠気はありましたが、話し相手もいるので退屈する事もありませんでした。

1つ辛いというなら、ずっと下を向いているので作業終了時には首がかなり凝ってしまっているのか、かなり痛いです。それでも自給が高いのもあり、それぐらいの事なら我慢できるものでした。

研修が終了する間際に、パートの方が首の痛みが消えないので、この仕事を続けれないという事もあり、1人辞めてしまい2人で同じ作業をしなくてはいけませんでした。ですが慣れているのもあり、2人でも予定量の仕事をなんなくこなせました。それからすぐに、関連会社から監査員が3人きて、作業をチェックされました。その時、ステーキ肉担当の責任者ではなく、実際作業している2人の作業を見たいを言われ、トリミングと整形は私が担当していましたので、私の作業をずっと見られる事になりました。審査の結果はかなり良かったらしく、褒められたりしたのですが、これが原因で1週間後から大変になりました。

1週間経ち、いつも通り工場に行くと、もう1人のパートさんが来ていなかったので、責任者の方に聞くと予想外の答えが返ってきたのです。それは元々このステーキ部門は1人の採用で、それの選定のために3人雇っていて、監査までに1人を育て上げてその人にすべて管理してもらうという事でした。もう1人のパートさんは監査の時点で、クビが確定していて先週の末日で退職してもらったと伝えられたのです。

そして1つひっかかった言葉があったので責任者の方に、すべてを管理とは?と尋ねると、その言葉のままと言われ驚きました。まとめるとその事を伝えるために責任者は来ていて、これから先ステーキ部門がある間は1人で今までの作業をこなさなくてはいけなくなったのです。もちろん、作業前の準備も、作業が終わってからの清掃も1人でこなしていかなくてはいけません。そして何より誰もいない広い工場で、血の臭いがする作業台で深夜に1人で肉の解体をしないといけないのが、すごく辛かったです。

唯一嬉しいとするなら、管理者になったということもあり、自給が2200円になった事です。今まで3人払っていたので、お金に余裕が出来たのだろうなと感じました。

それから6か月間は1人で作業していましたが、1人で作業すると会話する相手がいないので、時間が過ぎるのが非常に遅く、眠たかったです。研修期間も7か月間、続けて働いていましたが自給よりも、仕事内容が苦痛に変わり限界がきたので退職しました。自給が高いという事は、それだけ内容が求められるのだと知る事が出来た仕事だったと今は思います。