児童館のアルバイトが自信につながる

学生の頃、近所の児童館でアルバイトをしていました。それまでアルバイト経験がなく、周りの友人たちはコンビニや家庭教師などをしている人が多かったのですが、自分にはできる気がしませんでした。でも、子どもが好きなので、この仕事なら頑張れそうだと思ったのです。

やってみると、想像とは違い、仕事はとても大変でした。基本的には子どもの相手をすれば良いのですが、子どもですから、当然みんなわがままです。ゲームで遊ぼうとしても、気分が乗らなければイヤがって向こうへ行ってしまうし、機嫌が悪いとほかの子に当たって、ケンカを始める子もいます。はじめは毎日、泣きそうになりながら子どもを追いかけ回す日々でした。でも、初めてのアルバイトでつまずきたくなくて、一生懸命笑顔を作って頑張りました。

しばらくすると、子どもたち一人一人の名前や性格を覚え、扱い方がわかってきました。そうすると、気持ちにも少し余裕が出てきて、子どもが気分が乗らないようであれば、気長に声をかけながら待つことができるようになりました。大事なのは、こちらの思い通りにならないのは「当たり前」だと悟ることでした。子どもだから、というよりも、相手は「他人」だから。私とは違う考え方を持っているし、同じ気分とは限らないのです。相手が大人なら、こちらに調子を合わせてくれたりするけれど、子どもにはそれがない、それだけのことだったのです。

結局、私は大学を卒業するまで、児童館のアルバイトを続けました。懐いてくれる子どももたくさんいて、辞める気にならなかったからです。ほかのスタッフの方もとても良くしてくださり、慣れると本当に働きやすい職場でした。就職活動で公務員試験を受けた私は、無事合格し、自宅近くの市民センターに勤務が決まりました。就職を控え、いよいよアルバイトを辞めることになった最終日、最初に仕事を教えてくれた先輩が、私に声をかけてくださいました。「はじめは続くかどうか心配だったけど、よく頑張ったね! あなたなら、どこへ行っても大丈夫。立派に働けるよ!」自分に自信がなくて、アルバイトするにも尻込みしていた私には、最高の褒め言葉でした。

その後、市民センターでの仕事が始まると、毎日覚えることが山のようにあり、本当に大変でした。でも、アルバイトで慣れなかった頃の苦労を思い出すと、辛くても乗り越えられると信じることができました。それに、最後に先輩がくれた言葉が心に残っていて、その信頼を裏切れないという思いも強かったと思います。

それから、実際の業務の面で、子どもたちと接してきたことが、意外にも役に立ちました。センターにやって来る人たちは様々ですが、お年寄りの方が多くいらっしゃいます。相談に来られても、話が要領を得なかったり、目的は分かったけれども書類が揃っておらず、説明しても、なかなか分かっていただけない、というようなことが多々あります。そんな時、失礼な言い方かもしれませんが、子どもの相手をした時のコツを思い出すと、うまく接することができたのです。

子どもとお年寄りは、よく似ています。どちらも自分を取り繕わず、分からないことは分からない、イヤなものはイヤだと言います。正直、面食らうことも多いですが、「自分とは違って当たり前」だという前提を忘れなければ、受け入れることができました。それどころか、面白いと思えるようになり、私はよくセンターに来られるおばあちゃんと、すっかり仲良くなりました。最初は「あのおばあちゃん、話が分からなくて大変でしょ?」と同情していた先輩も、今では「あなたの担当だから」と、おばあちゃんが来ると私を呼ぶようになりました。

その後、結婚して退職し、今はパートの仕事をしていますが、この頃の経験は私に自信を付けてくれました。本当にかけがえのない財産だと思います。